【3分でわかるニッポンの伝統工芸】北海道:二風谷 アットゥシ(アイヌ伝統の樹皮織物)

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出典:http://nibutani.jp/tradition/

みなさんは「アットゥをご存知でしょうか?

「あっ! 知ってる! 『ゴールデンカムイ』のアシパさんが着ているようなアイヌ民族の衣服のことでしょ!? 確か樹皮の繊維でできているんだよね」

という方もいらっしゃるかもしれません。

正解! と言いたいところなのですが、厳密にはアットゥというのは、樹皮の繊維を織って作った布地のこと。それを着物に仕立てたものは「アットゥアミ」といいます。

「二風谷 アットゥは、以前ご紹介した「二風谷イタ」とともに、日高地方の沙流川(さるがわ)流域、平取町二風谷に古くから伝わるアイヌ民族の伝統工芸

2013年、経済産業省が指定する「伝統的工芸品」(伝統的な技術・技法、原材料によって作られてきた工芸品)に、北海道で初めて指定されています。

アットゥは、オヒョウの木やシナノキなどの木の樹皮から作られるため「樹皮衣」と称されます。

この言葉から来るイメージだと、「樹の皮を布のように使用するのかな?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には「樹皮から取り出した繊維で糸をより、その糸で織った布」。時間と手間と、熟練の技術を要する工芸品なのです。

まず、オヒョウやシナノキの樹皮をはぐのですが、その時もアイヌの人々は木の神さま(カムイ)に「衣服を少しもらいますね」といい、全ては剥がさずに、半分残し、残りの皮が剥がれ落ちないように、帯状にした樹皮で結わえておくのです。自然に敬意を持ち、資源を決して採り尽くさない、自然の中で生きる人々が育んできた知恵ですね。

木の神さまから頂いてきた樹皮は、まず荒皮をはがして水に漬け、さらにやわらかくするために煮て、繊維を抽出します。その繊維を糸状により合わせて、ようやく糸ができます。

その白い糸を、染めて色をつけます。素朴な色合いは草木染めによるものです。

そして、出来上がった糸を、織り機で織り上げます。これでようやく、アットゥ反物ができるのです。

アットゥは、軽くて丈夫、風通しがよく、おまけに水に浮くため、着物、半纏、帯などの衣服をはじめ、小物入れなど、さまざまなものに加工されました。

この布から着物を仕立てれば、アットゥアミになります。

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出典:http://www.northerncross.co.jp/biratori/2272

袖、襟、裾といった開口部には、アイヌ文様の刺繍やアップリケが入っていますが、これは魔除けのためのものです。

このアットゥという優れた素材は、古くから和人の社会でも重宝されました。

アットゥ着物は、江戸時代に交易を通して、和人社会に渡り「厚司(アツシ)」と呼ばれました。さらに、アイヌのものを模した作業服として(樹皮衣ではない)「厚司」が和人の手によって作られ、職人や漁師に愛用されるようになりました。一般には「厚司」=アイヌの衣服全般と誤解されることが多いのですが、それにはこういった経緯があるのです。

現在でも、丈夫で素朴で自然の風合いを感じさせるアットゥは、衣類だけでなく、財布や小物入れなど、さまざまなものに加工されて、北海道のお土産として愛されている一方、アイヌ文化という枠を超えて、ナチュラルで「粋」を感じさせる個性的な素材として、和服の「帯」などにもよく用いられています。

北海道のアイヌ文化の地・二風谷で、匠の技、伝統の織物の数々をご覧になってみてはいかがでしょうか。

※タイトルの「アットゥシの「シ」表記は本文同様「アットゥ」と小書きにするのが正しいのですが、システムの仕様上「シ」となっています。

二風谷アイヌ匠の道 http://nibutani.jp/

 

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