故・中村勘三郎さんの想いがこもった「大江戸りびんぐでっど」の魅力とは?

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9月18日(日)、東京の下町・浅草と上野を舞台に開催された「第9回したまちコメディ映画祭 in 台東」(略称・したコメ)において、こちらの記事でも紹介したシネマ歌舞伎「大江戸りびんぐでっど」が上映されました。

上映後には、宮藤官九郎さん・中村七之助さん・片岡亀蔵さん・冨士滋美さんの4名をゲストに舞台挨拶が行われ、公演当時の苦労やエピソードを語りました。

「大江戸りびんぐでっど」が歌舞伎座にて公演されたのは2009年。7年前の演目とあり、中村七之助さんは「ちょっとうるっとしました。懐かしいの一言」と当時を振り返ります。また片岡亀蔵さんは、大のホラー映画ファンで、特にゾンビに関してマニアであることを明かしながら「僕は(勝手に)演出までしないといけないと思っていて。稽古の初日には全部覚えてました」と語ると、会場は大きな笑いに包まれました。

■故・中村勘三郎さんの願いが詰まった作品

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会場が暖まったところで、話は公演当時の故・18代目中村勘三郎さんとのエピソードに移ります。本作は歌舞伎ながら「ソンビ」が登場するという衝撃作。この演目を歌舞伎座で公演することに、当初は「びっくりした」と言いながらも、「中村勘三郎さんの思いが詰まった作品であった」と浅草観光連盟会長の冨士さんは語ります。「日常的に、しかも若い方の間で歌舞伎が話題になるようになるのは、中村勘三郎さんの願いでもありました。「大江戸りびんぐでっど」は、そんな思いが顕著に表れた作品。噛まれてもいいから、(ゾンビになって)蘇ってきてほしい」と勘三郎さんを懐かしんでいました。

脚本・演出をつとめた宮藤官九郎さんは、本作の発端について尋ねられると、「鮮烈に覚えているのが、高田馬場のPARCO劇場で舞台を見ていたんですけど。日替わりゲストで(中村勘三郎さんが)来られていまして。僕は角の席で見ていたんですけど、突然ばっと捕まれて『この人に書いてもらうからな』と宣言されたんです」と、驚きのエピソードを明かしました。

作品のアイデアについても、「歌舞伎で、ソンビが出てくるものがありますか?」と尋ねると一言「ないね」と言われ、その場で決まったとのこと。中村勘三郎さんの人柄がわかる、大胆なエピソードに会場は大いに沸きました。

■当時は賛否両論だった「大江戸りびんぐでっど」

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「大江戸りびんぐでっど」は、「歌舞伎座さよなら公演」の演目の1つで、古典歌舞伎と同日に上演されていました。しかし、これが狙いであったと中村七之助さんは語ります。「宮藤官九郎さんのファンである若い方が古典歌舞伎に触れ、古典歌舞伎しか知らない方が新しい歌舞伎に触れるというのは、父(勘三郎)の願いでもありました。なので、その時は本当に機嫌がよくて、幸せな時間だったと思います」

しかし、当時は賛否両論だったようです。古典歌舞伎を見終わったご年配の方が「大江戸りびんぐでっど」が始まると、すーっと席を立って出て行ったということ。古典歌舞伎のファンの方には、なかなか受け入れられなかったようで、宮藤官九郎さんも気が気ではなかったといいます。しかし、役者陣はくさやがしゃべったりするような内容にも関わらず、自然に役を受け入れてくれたことに驚きつつ、歌舞伎の自由度の高さと懐の深さについて語っていました。片岡さんも、「そのくらいでは驚かない」とコメント。

中村七之助さんはこの作品が大好きで「おごった言い方をすると、僕たちが先に行っているんじゃないかな」と宮藤さんをフォロー。歌舞伎の代表的な演目「勧進帳」でも、その昔は三味線が流れた時にお客さんが席を立って出て行ったことを引き合いにしながら「歌舞伎が始まって以来、最も攻めた作品だと思います」と、大絶賛。勘三郎さんが「大江戸りびんぐでっど」のDVDを何度も見ていたエピソードを明かすなど、終始宮藤官九郎さんを褒めちぎった中村七之助さん。「もっと心の安まるものを見ましょうよ」と照れ隠しをしながら応えていた宮藤さんが印象的でした。

また、今後の「大江戸りびんぐでっど」について「2」はあるのか、という問いに対し、宮藤さんは否定しながらまんざらではない様子。「2ってだけで、もう面白いよね」と、いとうせいこうさんが会場を沸かせたところで、舞台挨拶は終了となりました。

 

「大江戸りびんぐでっど」を皮切りに、最近では「ワンピース歌舞伎」をはじめとする新しい歌舞伎が上演されています。佐々木蔵之介さんをはじめとする現代劇役者が歌舞伎の舞台に上がるようになるなど、歌舞伎は新しい時代を迎えています。これから先、歌舞伎がより注目されていくといいですね!

■「第9回したまちコメディ映画祭 in 台東」公式サイトはこちら

■ウルトラJの「したコメ」記事はこちら

■「大江戸りびんぐでっど」公式サイトはこちら

(C)2016 内山勇士/「したまちコメディ映画祭in台東」実行委員会

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メトロン佐伯

北陸在住のちゃぶ台とタバコをこよなく愛する29歳。
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