岩井俊二監督が映し出す世界 最新作「リップヴァンウィンクルの花嫁」で描かれる日本の今とは?

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■世界に向けて発信される、日本映画の「過去」と「未来」、そして「今」

日本を代表する国際的な映画祭である「第29回東京国際映画祭(TIFF)」が、10月25日(火)から11月3日(木)までの10日間開催されます。

10月4日(火)には、日本外国特派員協会にて、日本映画の「今」を独自の視点でセレクションして上映する「Japan Now」部門の記者会見が行われました。TIFFのディレクター・ジェネラルを務める椎名保さん、「Japan Now」部門のプログラミング・アドバイザーを担当する安藤紘平さん、そして監督特集として、代表作「スワロウテイル」など5作品が上映される岩井俊二さんが登壇。「Japan Now」部門にかける意気込みなどを語られました。

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まずは椎名ディレクター・ジェネラルにより、映画祭全体の部門について、「今年は日本の映画界の未来を担う若者や子供たちにむけた「Youth(ユース)」部門が新設されました。昨年から出来た「Japan Now」部門が日本映画の現在とすれば、日本映画クラシックスは過去。そしてユース部門は未来という位置づけです」という言及がなされました。

また会期中は六本木ヒルズアリーナにて、無料の野外上映も実施されることが語られ、さまざまな視点で映画を楽しめる映画祭であることがあらためて示されました。

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「Japan Now」部門の安藤プログラミング・アドバイザーからは、「今の日本の映画や文化、クリエイターを国内外に向けて発信すべく、良い作品を選んでいる」と選考基準についての解説がなされました。

さらに岩井監督の特集を組むうえで、最新作「リップヴァンウィンクルの花嫁」を初めて観た時の感想として、「日本人として生まれたことが誇らしい。今の若い人の想いや行動が寓話的に発揮されている」と絶賛。過去の代表作の選定も非常に迷ったうえで、全5本を選んだことを明かしました。

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日本国内はもちろんのこと、アジア各国やアメリカでの評価も高い岩井俊二監督。近年は映画を通じてアジアを中心に交流を深めており、「さまざまなバリエーションの映画が作られることで、アート系の映画もやりやすくなり、さまざまな可能性が出来るのではないかと、ますますの盛り上がりを見せる映画業界への想いを語りました。

また、「花とアリス殺人事件」などアニメーション映画も手がけている岩井監督。今後もアニメーション作品を作るのかという質問に対しては、「岩井流のアニメーションを作っており、絵を描くのは楽しいので欲張りだが実写と並行しながら作品を作っていきたい」と回答していました。

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■人と人のつながり、そして幸せの形とは? 現代社会を切り取って描かれる岩井俊二の新たな世界

特集上映される「リップヴァンウィンクルの花嫁」の作品についても、簡単にご紹介します。本作は今年公開された岩井俊二監督の最新作。アルバイトをしながら非常勤教師として働く、黒木華さん演じる主人公の七海。ネットで知り合った男性と出会い、結婚をすることになるが、親族の数が釣り合わない。悩んだ七海は、SNS上でつながっていた(綾野剛さん演じる)安室から、親族の代理出席があることを持ちかけられて……。

スマホやSNS上でのコミュニケーションが当たり前になり、現実の人と人とのつながりが希薄になってきている現代社会。どこにでもある、今の日本のどこかで自信なく生きていた七海。自分がどこにいるのか、どこに向かえばいいのかわからなくなった彼女が出会ったのは、「リップヴァンウィンクル」と名乗る人でした。

日本刀のように美しくもあり、触れたものを傷つけてしまう敏感な人々の感性。「人の望みや喜び」はどこにあるのか? 瑞々しく、生々しく、どうしようもないけれども、だからこそ面白い人と人の物語が、岩井監督らしい映像美と構成によって、ユーモアも交えて描かれます。

本作は10月29日(土)18:00より六本木ヒルズにて上映。上映後には岩井監督に質問もできるので、岩井作品のファンはもちろん、この今の日本を代表する傑作映画を観に、ぜひ劇場まで足を運んでみてください。

「リップヴァンウィンクルの花嫁」
180分 カラー 日本語(英語字幕付き) 2016年 日本 配給:東映㈱

スタッフ
監督/脚本/原作 : 岩井俊二
エグゼクティブ・プロデューサー : 杉田成道
プロデューサー : 宮川朋之
プロデューサー : 水野 昌
プロデューサー : 紀伊宗之
撮影 : 神戸千木
美術 : 部谷京子

キャスト
黒木 華
綾野 剛
Cocco
原 日出子
地曵 豪
りりィ

映画祭の魅力や楽しみ方はこちらの記事をご参考ください。

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第29回東京国際映画祭公式サイトはこちら
歌舞伎座スペシャルナイトの公式ページはこちら
開催期間:2016年10月25日(火)~ 11月3日(木・祝)
開催会場:六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区) ほか 都内の各劇場および施設・ホールを使用

(c)RVW フィルムパートナーズ

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