【シン・ゴジラはこうして生まれた】東宝プロデューサーと犬童一心監督が語る 「この作品を庵野さんが作れたのは、樋口・尾上という2人がいたからです」

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■庵野監督に任せるのは不安だった?! 大ヒット作の企画成り立ちと、作りあげた3人の「監督」の才能とは?

東京・六本木にて開催中の「第29回東京国際映画祭」。「Japan Now」部門において、現在も公開が続いている大ヒット作「シン・ゴジラ」が上映され、東宝の山内章弘プロデューサーと、本作に出演し、樋口真嗣特技監督とかつて共同で「のぼうの城」を監督した犬童一心さんが登壇。本作の企画誕生から、大ヒットする大作が生まれたいきさつを多角的にトークする内容となりました。

山内プロデューサーは、本作を50回劇場で観たという方と出会い、それくらいの熱狂を持って受け入れられていて嬉しいと挨拶。犬童監督は庵野さんと樋口さんは昔から知っている仲であると自己紹介し、自分も含めてこれほど日本のオジサンの顔が出てくる映画はないだろうとコメントして、場内の笑いを誘いました。

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本作の企画意図を尋ねられた山内プロデューサーは、「東宝にとっての『ゴジラ』は唯一無二の大切な存在だが、これまで12年間、時代の要請がなかったのか作る機会がなかった。しかし、3年前にこのままだと(リアルタイムで)観ていない世代が出てきてしまうし、日本を覆い尽くす不安の象徴として、震災後の日本における『ゴジラ』が必要なのではないかと、企画が立ち上がりました」と回答。

犬童監督は庵野さんと樋口さんがタッグを組んで作品を作ると聞いて、長年のタッグなのですごくいいなと思ったと振り返ります。しかし3時間分はあるものすごく分厚い台本を渡され、前後編にするのかとスタッフに尋ねるくらい、この長さはヤバイなと思ったと話すと、山内プロデューサーも同意。そこからアーティストである庵野監督に「ゴジラ」を頼むとき、危険だとは思わなかったのかと犬童監督から山内プロデューサーに質問が及ぶと、「(3時間の台本が上がってきたとき)まず脚本を短くしようと思い、いろいろ討議をしました。ヤシオリ作戦に向かう部分を全部やめちゃうという議論もしましたが、今観ると絶対それは無いなと。庵野さんは絶対2時間でおさまると言っていたのですが、僕らはそういう監督にどれだけ騙されてきたかという話をして、(おさまる)何かの確証がないとクランクインできませんと話をしました。それで声優さんを起用して、ラジオドラマのようなものを作成しました」と振り返ります。

犬童監督は、「台本を見て思ったのは、早口で台詞を言わないと自分の出演シーンは切られるなと。それをやったときに、庵野さんがこれで1本だと言うなら、早口で全員やらせる気だなというのが分かりました」とフォロー。声優さんによるラジオドラマは1時間34分に尺がおさまり、ゴジラのシーンとエンドロールを追加して2時間尺だと庵野さんから伝えられたという山内プロデューサーは、「たっぷり目の(芝居をする)役者ばかりだから無理だろうと思った」とまだ信じられる確証がなかった様子。どこで信じたのかと犬童監督に尋ねられると、「プリウィズと呼ばれるビデオコンテみたいなもので、2時間尺ということになり、結果的にそうなった」と回答。現場ではあの柄本明さんや平泉成さんですら、早くしゃべらないと切られると思っていたと明かします。犬童監督は、「庵野さんは俳優にあまり何かを言うタイプの監督ではないが、みんなに自然にそう仕向けたことがすでに演出だろう」と解説しました。

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話題は庵野総監督と樋口監督のコンビのバランスに。現場では引いて何も言わない庵野総監督と、言葉を投げかける樋口監督、逆もあったが非常にうまいバランスだったと山内プロデューサーは語ります。樋口監督に関して犬童監督は、映画のためだったら何でもする精神が徹底していると話します。「自分が引いた方がよければ引き、手をかけたほうがよければそうする。樋口監督と(本作の)尾上准監督は今まであった中で、一番その意識がある人間で尊敬しています。庵野さんは意外とできないと思うので、「シン・ゴジラ」という作品を庵野さんが作れたのは、樋口・尾上という2人がいたからです。彼らのプロフェッショナルな職人気質と、庵野さんのアーティストとしての才能が見事に融合している映画だと思います」と語ります。

山内さんがそんな3人を信じたことで出来た映画だと思うとまとめられ、本当に信じているのかと改めて尋ねられた山内プロデューサーは、「一説によるとだまされたっていう話もありましたけど(笑)」と話されました。

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山内プロデューサーの本作への想いが観客から質問されると、「『ゴジラ』シリーズは興行的には下がっていって終わってしまったので、今までと同じようなことをやっても意味がないなとは思っていました。そこで『エイリアン』シリーズのように第一戦のクリエイターが独自の解釈を入れたことによって、(1より2が面白いと)延命していったように作れないかと思いました。庵野さんという才能を用いることによって、これから先も同じような年月続けていけるのではないかと思います」と回答されました。また、Q&Aなどの場に監督たちが出てこない理由に関して、「作品の正解を言うのではなく、観客それぞれの解釈が1つの正解なのではないのかと。なので、ああなんじゃないかと思って楽しんでもらうのが、一番なのではないかなと思っています」とコメントされました。

最後に犬童監督は、(ゴジラを演じた)野村萬斎さんを起用したいと樋口監督に持ち掛けられた際のエピソードを語ります。「最初の『ゴジラ』は戦争が終わった後の節目のときに出てきた映画で、(本作も)日本の節目のときに立ち会ってゴジラを出現させようとしている。何かというと、「神事」ですね。普段の生活の中にもあるわけですが、もともと神事である能楽の人として萬斎さんを起用したことは、はっきりとした作り手の意図があるなと感じました。神を呼び込んで出会うことで再生する。そういう映画は節目の時でないと出来ないと思うのですが、本作を観るときそう感じます」と、自らの所感を述べられました。

フォトセッション時は、司会を務めた安藤プログラミング・ディレクターも一緒に「シン・ゴジラ」ポーズをする場面も。2016年の日本映画界を大いに盛り上げた「シン・ゴジラ」。未見の方は、まだ劇場で公開されていますので、ぜひご覧になってくださいね。

公式サイトはこちら

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第29回東京国際映画祭公式サイトはこちら
開催期間:2016年10月25日(火)~ 11月3日(木・祝)
開催会場:六本木ヒルズ、EXシアター六本木(港区) ほか 都内の各劇場および施設・ホールを使用

映画祭の魅力や楽しみ方はこちらの記事をご参考ください。

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