【ウルトラJ文楽入門特集・その1】人形遣い・吉田清五郎さんに訊く! 驚きのしかけが満載な人形のからくりとは?

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■熟練の技が集結! 女方の人形の足の秘密とは?

――かしらのかつらと衣裳も、それぞれ専門の方が担当されるんでしょうか。

清五郎:かしらに合わせてかつらを作り、髪を結う床山(とこやま)係と、配役ごとの衣裳を準備する衣裳係がいます。衣裳係によって調えられた衣裳は、人形遣いが土台となる胴体に襟や襦袢、着物、帯などを縫い止め、自分で着付けを行います。この作業を「人形こしらえ」と言うんですが、公演が終わると全部バラバラにして衣裳係に戻すんです。

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――そうなんですね!でも、胴体部分の布には、清五郎さんのお名前が入っていますね。

清五郎:胴体だけは、人形遣いが使いやすいように自分で作るんです。楕円形の「肩板」にヘチマで肩の丸みをつけたものを、竹の輪っかでできた「腰輪」に前と後だけ布を張ってつなげます。中身は空洞です。立役はしっかり固定するため、さらに木の棒で支えます。女方は手首でしなを作りやすいように、肩板の前に切れ目が入っています。

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▲こちらが立役の胴体。男らしさを表すために、ガッチリと握られています!
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▲女方は、女性らしさを表現するため、握り方や胴体部分の作りが違います。

――手や足の部分はどうなっているんでしょうか?

清五郎:手や足は肩板からひもでつなげて、関節で曲がるようになっています。実は足があるのは立役だけで、女方にはありません。着物の裾を動かして歩く姿を表現し、座るときは膝のあたりで着物を折り曲げ、「足遣い」の拳で人形のたて膝を表現する場合もあります。


▲こちらが立役の足部分。持ち手がついています。
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▲女方の足の部分には、「足遣い」の方の両手が入るようになっていて、手で足を表現しているのです!

――へぇ! 衣裳に隠れている部分では、こんな動きをしていたんですね!

清五郎:腕にはいくつか種類があって、指先が動かせるものや、「もみじ手」と呼ばれる5本の指がついたままのものなど、役柄によって使い分けます。

――この娘のかしらの口元には、針のようなものがついていますね。

清五郎:これは「口針」といって、針に着物の袖口や手ぬぐいを引っかけるために使います。袖口を口にくわえて悔しがっているように見せるんです。

――なるほど! 引っかけると、まさに人形が自分でくわえているように見えますね。ほかにもあまり知られていないのでは? というトリビアがあればぜひ教えてください。

清五郎:「主遣い」が履いている袴は「行燈袴(あんどんばかま)」と呼ばれるもので、一見すると普通の袴に見えますが、激しい動きにも対応できるように、実はスカート状になっているんです。袴の内側もカットされていて、足さばきがしやすいように工夫されています。

――そうなんですね! 文楽にも随所に合理的な工夫が取り入れられていることがわかり、とても親近感が湧いてきました。

次回は「左遣い」と「足遣い」の方もお招きし、清五郎さんと三人遣いによる人形の動きを実演していただきながら、さらに詳しく解説をしていただきます。お楽しみに!

→第2回はこちら

■「文楽」を実際に国立劇場で観てみよう!

2016年に開場50周年を迎えたニッポンの伝統芸能の一大拠点「国立劇場」。2017年2月4日(土)から2017年2月20日(月)の期間にて、2月文楽公演「近松名作集」が50周年記念公演の1つとして上演されます。ウルトラJでも公演情報など取り上げていく予定なので、文楽入門特集と合わせてぜひ実際の舞台をご覧になってみてくださいね! チケットは2017年1月7日(土)より、電話・インターネットで予約開始です。詳細は下記記念サイトをご確認ください。

国立劇場開場50周年記念サイトはこちら

プロフィールPROFILE

ピグモン風子

日本古来の伝統文化から最先端のアート・カルチャーまで、ウルトラな人たちを追いかけまわす好奇心旺盛なライター。

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