【今宵はミサがござる】クリスマスケーキは日本特有の風習だった!? サムライの国・日本のクリスマス・ヒストリー 

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川瀬巴水

川瀬巴水「雪庭のサンタクロース」(PD)

きらびやかなイルミネーションが街角を彩るクリスマスの時期は心がウキウキしますね。今や日本の年の瀬の風物詩の一つとなった風景ですが、日本で現在のようにクリスマスをお祝いする習慣が出来たのはいつ頃からかご存知ですか?

アニメーション映画「この世界の片隅に」(片渕須直監督)の中でも、今と同じように百貨店や商店街でクリスマスセールをしている場面が描かれています。のん(本名・能年玲奈)さんが演じる主人公の「すず」さんが5歳の時、昭和5年の広島の年の瀬はクリスマス飾りやサンタクロースなど、とさほど変わらない情景です。

でも、不思議ですね。ご存知の通り、クリスマスはイエス・キリストの降誕を祝う、キリスト教の大切な祝祭日です。そのクリスマスが、キリスト教徒が人口の1%未満しかいない日本で、なぜ、このように大衆に浸透しているのでしょうか。

日本にクリスマスが伝わってきたのは、ご存知フラシスコ・ザビエルによるキリスト教の伝来(1549年)とともにであったと考えられますが、記録に残っているのは、1552年12月24日に、周防(山口県)で行われたミサ(祭儀)が最初とされます。その後、その大友宗麟、高山右近、蒲生氏郷などのキリシタン大名の庇護の元、国内のキリスト教の信徒は急増。1600年頃には京都などでもキリシタンが集まって、盛大なミサが行われるようになります。当時のクリスマスも、美味しい料理を食べ、演劇、聖歌隊など色々な催し物でキリストの生誕をお祝いしていたそうです。

現代の戦争でも「クリスマス休戦」といって、クリスマスの間は戦争が休戦になることがありますが、この「クリスマス休戦」が、戦国時代の日本で行われたという記録もあります。1566年、松永久秀(まつなが・ひさひで)の配下のキリシタンと、敵対する三好氏の配下のキリシタンが、一堂に会して敵味方の隔たりなくクリスマスミサを行ったと、宣教師ルイス・フロイスの記録に残っています。今年話題をさらった大河ドラマ「真田丸」では、キリシタン大名・明石全登(あかし・てるずみ)が「今夜はミサがあるので…」と言って軍議を断るシーンがありましたが、本当に「クリスマスなので」と戦闘を中断することがあったとは驚きですね。

その後、秀吉による「バテレン追放令」、さらには江戸幕府の「禁教令」が出され、それに反発したキリシタンたちを中心とした「天草四郎の乱」なども起こります。江戸幕府はキリスト教を激しく弾圧しますが、信仰を捨てなかった「隠れキリシタン」たちは、地下に潜って信仰を守り続け、クリスマスイブ「お産待ち」クリスマス「ご誕生」と呼び、密かにクリスマスを祝いました

クリスマスが復活したのは、1872(明治7)年。その数年後には勝海舟がアメリカ人の知人が行ったクリスマスパーティーに参加したという記録があります。民衆にクリスマスが知れ渡るのは、明治時代も後半になってから。1904(明治37)年、東京・銀座の「明治屋」がクリスマスツリーを設置したり店舗の飾り付けをして「クリスマスセール」を行い話題になったのがその先駆けです。1910(明治43)年には「不二家」がデコレーションケーキを発売。「クリスマスケーキ」という日本特有の風習も生まれました。大正から昭和初期になると、子どもたちは雑誌や絵本などでサンタクロースの物語を知るようになり、街ではデパートやホテル、レストランなどツリーやモールで飾られ、街をクリスマス一色に染める年末の一大イベントとして定着していきました。

戦争中は一時期クリスマスは行えなくなりますが、戦後復興とともに再びクリスマスが行われるようになります。「プレゼント」や「パーティー」「グルメ」などを売り物にした「クリスマス商戦」が加熱。宗教的なイベントではない「日本独自の商業イベントとしてのクリスマス」が展開されるようになり、現在に至っています。

こうして見てみると、一口に「日本のクリスマス」と言っても、じつに500年近い歴史があり、独自の文化として、発達してきたわけですが、もちろん、本来の「クリスマス」、キリストの降誕を祝う祭礼は、全国のキリスト教会で祝われています。多くの教会はこの大切な日を多くの人とともに祝うために、クリスチャンであるかどうかにかわらず聖堂を解放しています。もし、興味がある方は、お近くの教会を訪れて、本物のクリスマス礼拝を体験てみるのもよいのではないでしょうか。

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