【ウルトラマンを沖縄から読み解く】第4回 沖縄人(ウチナンチュ)・金城哲夫の「まれびと」としてのウルトラセブン

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▲『ウルトラセブン』第8話「狙われた街」より。

みなさんは「まれびと」という言葉をご存知でしょうか。聞きなれない言葉ですが、「まれびと(稀人)」とは民俗学で「時を定めて他界から訪れる霊的・神的存在」のことを意味します。民俗学者の折口信夫が定義した言葉です。「まるで『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』のようだ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

実際、金城哲夫氏は、この「まれびと信仰」を念頭において、『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』を生み出したのではないか、と指摘している人がいます。金城氏と同じく沖縄出身で、ともに『ウルトラセブン』などの脚本を執筆していた脚本家・上原正三氏です。

少し専門的になりますが、上原氏は、沖縄とウルトラマンについて、下記のように考察しています。

・折口信夫が「まれびと」論を成立させる上で、その礎として沖縄の琉球文化のフィールド調査が重要な意味を持ったという事実があること。

・沖縄には海の彼方にある「ニライカナイ」という常世の国の伝承があり、ここから年ごとに人々のもとに神が訪れ、豊穣をもたらしてくれるという信仰があること。

・沖縄の「ニライカナイ」信仰は、本土の「まれびと信仰」(遠方から福を授けるために現れる神)と根を同じくする民俗信仰であったこと。

そんな分析をしながら、上原氏は、若くして亡くなった同郷の盟友・金城氏に思いを馳せ、金城氏が創り出した光り輝くウルトラヒーローのルーツは「まれびと」にあったのではないか、と言うのです。金城氏は、自分たちの世界とは異なる世界から来ると言われている「まれびと」に、何を仮託していたのでしょうか。

高校生時代、金城氏は「金星人と交流することができれば、我々の地球人の世界観は一変するだろう。宇宙人と握手しよう」と、友人たちと「金星人と握手する会」を結成しました。その頃から、遠い宇宙から来訪する何者かに、想いを馳せていたのです。『ウルトラセブン』は、多角的な読み解き方ができる作品ですが、そういう見立てをするならば、ある意味では「近未来の地球を舞台にした、地球人対宇宙人」という図式を借りながらも、日本人の心のどこかにある「まれびと」や「ニライカナイ」の信仰がその作品の中に息づいているのかも知れません。

ウルトラセブンとは何だったのか。その本質を探るべく、次回は「ニライカナイのウルトラセブン」をお届けします。

編・文責/ウルトラJ編集部

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