「シン・ゴジラ」の「ヤシオリ作戦」の元ネタ、伝説の酒「八塩折の酒」を飲んでみた!【ネタバレ無し】

このエントリーをはてなブックマークに追加

公開より1ヶ月が経過しても、いまなおヒット中の映画「シン・ゴジラ」(庵野秀明総監督)。

img_visual_jp
出典:http://www.shin-godzilla.jp/index.html

圧倒的なリアリティと、一度観ただけでは処理しきれない情報量の多さ、そして映画としての面白さに、現在もリピーターが続出し、ネット上には毎日のように「シン・ゴジラ」についての感想や研究などの記事が発表され続けていますが、これはかつて、同じく庵野秀明監督が巻き起こした「新世紀エヴァンゲリオン」のブームを彷彿とさせます。

一度観たら、何度も観たくなる、そして、誰かと語り合いたくなる映画「シン・ゴジラ」! 筆者もいろいろ語りたいのは山々ですが、ここは日本各地のウルトラなカルチャーやグルメを日々追い続け続けている「ウルトラJ」! というわけで、他のサイトがやらない「シン・ゴジラ」に関する日本一のウルトラなグルメを、《ネタバレなし》でご紹介したいと思います!

 

■《ヤシオリ作戦》の元ネタになった日本最古の酒『八塩折の酒』とは!?

詳しく書くとネタバレになっちゃいますので慎重に書きますが、《ヤシオリ作戦》とは『シン・ゴジラ』の劇中で、主人公・矢口蘭堂(長谷川博己)が立案したゴジラに対抗するための作戦名です。

では、皆さん、この《ヤシオリ作戦》の名前の由来をご存知でしょうか。

私はもちろん……知りませんでした!

というわけで、調べてみましたところ、『ヤシオリ』とは、実は日本神話のヤマタノオロチ退治に登場する「お酒」の名前だそうです。

ああ、ありましたね。そういう神話ありましたねー。

天上の高天原から追放された荒ぶる神さま「スサノオノミコト」は、降り立った出雲の地で、毎年娘を一人ずつさらっていく八つの首の大蛇「ヤマタノオロチ」を退治してほしいと老夫婦に頼まれます。

スサノオも勇猛な神さまですが、さすがにヤマタノオロチにはまともにやりあっては勝てない。オロチはとってもデカくて、強いんです。

どんだけ強大かというと、日本書紀には「ヤマタノオロチのそれぞれの目は鬼灯(ほおずき)のように赤くギラギラしていて、尾も頭と同じく8つある。その体は8つの山、8つの谷ぐらいの大きさで、背中には樹が生えていて、その腹は爛れて、常に血がドバッと流れ出ている」みたいなことが書いてあります。

ヒェッ! な、まるで最近蒲田あたりで観たような光景! それがナゼ1300年前に書かれた『日本書紀』に!?

さて、そんな恐ろしい大怪獣ヤマタノオロチを倒すために、スサノオは何をしたかというと、まず巨大な桶を8つ用意して、そこに特製の何度も醸したとても濃いお酒を注がせます。

古来、大蛇は「うわばみ」ともいって、大酒飲みと相場がきまっています。ヤマタノオロチも多聞にもれず、大のお酒好きで、8つの首を8つの桶に突っ込んで、特製のとても濃いお酒をグビグビ飲み干します。

すっかり酔いつぶれてしまったオロチを、スサノオは手にした十拳剣(トツカノツルギ)、別名天羽々斬(アメノハバキリ)でギッタギタにやっつけるんですね。

そして、オロチの体内から神剣・天叢雲剣(草薙の剣)を手に入れ、助けたお姫様と結婚する、というのがスサノオのヤマタノオロチ退治のお話です。

そう。

この時のオロチを酔わせた特製のお酒の名前が「八塩折(ヤシオリ)の酒」です。

『シン・ゴジラ』の「ヤシオリ作戦」のネーミングは、ここから来ているんですね。

しかも、国内最古の史書『古事記』『日本書紀』に記されていることから、「伝説」ではありますが、「日本史上最古のお酒」と呼んでも差し支えないでしょう!

神話の酒、幻の酒、日本最古の酒……「ヤシオリの酒」。

ちょっと、飲んでみたいと思いませんか?

いやいや、飲んでみたいでしょう。

 

え? そんな神話の酒、伝説のお酒がこの21世紀に飲めるわけがないって?

確かに。

ところが、飲めるんですよ。

「八塩折の酒」が、現代でも、飲めるんです!

この神話の酒を、平安時代の古文書などを参考にしながら、とてつもない苦労の末に、現代によみがえらせた蔵元があるんです!

うーん! 太古のロマン! これは興奮してきましたよ!

これは、飲むっきゃないでしょう!

 

■《ヤシオリの酒》を飲んで、君も落ち着け!

 

というわけで、インターネットを駆使して「幻の酒」を注文してみました!

八塩折の酒

「八塩折(やしおり)仕込」
醸造元 國暉酒造株式会社(島根県)

このお酒は、島根県松江市の蔵元・國暉酒造さんが、神話に登場する「八塩折の酒」を再現したものです。

「ヤシオリ」というのは、「ヤ」+「シオリ」。ヤは数字の「八」で、古語では「数が多いこと」をあらわし、「シオリ」とは、酒を醸造すること。

つまり、「ヤシオリの酒」は「何度も醸造したお酒」ということです。

でも、お酒「何度も醸造する」って、どういうことでしょう?

通常、お酒は「仕込み水」を使って仕込みますが、この「ヤシオリの酒」は、丹精込めて醸したお酒を、次の酒の「仕込み水」のかわりに使用します。水のかわりにお酒で醸造するんです。

そうして出来たお酒を、さらに次の仕込み水の代わりにして仕込む、ということを、長い時間をかけて、何度も何度も繰り返して造ります。

こうして、酒を造るために、膨大な量の米と酒を使うという、特殊な仕込みによって造られるため、極めて濃厚で希少なお酒になります。

「水ではなく、お酒を使って何度も何度も仕込んだ濃厚なお酒」

それが、「ヤシオリの酒」です。

すごい! なんという手間!

(なので、お値段も普通のお酒よりセレブ仕様です)。

こんな贅沢な酒を、筆者が飲んでいいのでしょうか!
では、注いでみます!

清酒ですので、普通の日本酒のような透明な色を予想していたのですが、
注いでみると、とても濃い琥珀色
美しい黄金色、あるいはべっこう色といってもいいかもしれません。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

うーん、甘い香りが鼻をくすぐります。

 

では! みなさん、落ち着いてください。飲みますよ!

飲みます!

本当に飲んでいいのですか!? 飲みますよ!?

…え? 「お前が、落ち着け」って!?

はい、すみません!

ヤシオリは琥珀色

おお、これは!

ん、ンマーイ!

口の中に入れると、やわらかで芳醇な甘みが広がります。

蜜のようなとろみがあり、癖のない甘さ。

これはすべてお米の甘さなんですね。

舌触り、のどごしもやさしく、アルコールの刺激は少ないです。

するっと喉に落ちていく感じです。

飲むというよりも、味わう、嗜むという言葉がぴったり。

いつまでも舌の上で転がしていたいようなお酒。

甘露というのは、まさにこういうものをいうのでしょう。

 

お酒を造る職人である杜氏さんは、常にお酒の変化に気を配り、

時には酒樽に添い寝することもあるそうですが、

そのお酒への愛を感じる、やさしく、温かい味わい。飲めばほっこり、落ち着いた気分になります。

幾度も幾度も、何年もかかって、お酒によってお酒を磨いたお酒。まさに飲む宝石です。

食前酒にもピッタリで、いっしょにいただく食事や肴にもこだわりたいお酒です。

 

今回ご紹介した「八塩折仕込」のほかに、「花やしお」(写真右)もあります。

口当たりのよい、アルコール分を抑えてライトなタイプです。

さて、神話では、ヤシオリの酒を使ってヤマタノオロチを倒したスサノオは、

助けた娘クシナダヒメと結ばれます。

いわば、ヤシオリの酒は「縁結びの酒」でもあるのです。

特別な夕餉、出雲神話の悠久のロマンや、あるいは『シン・ゴジラ』のお話などを肴に、

結ばれたい大事な人と一緒に、ぜひ味わってみてください。

 

國暉酒造「八塩折仕込」
http://www.kokki.jp/yashi5.htm

(『シン・ゴジラ』の影響で「八塩折仕込」はかなり売れているそうなので、ご注文はお早目に!)


今回使用した徳利「備前焼 ウルトラマン徳利」
髑髏怪獣レッドキング
ゴジラではありません。

備前焼で作られた徳利に、職人の手描きによる「レッドキング」のシルエットが描かれています。

裏側にはスペシウム光線のポーズをとるウルトラマンの姿も。

ウルトラマン徳利

こちらのアイテムは、「ウルトラJオンラインショップ」でもお取扱い中ですので、ぜひご覧ください!

 

プロフィールPROFILE

メロス山本

子どもの頃、ウルトラマンの当て物カードとウルトラマン消しゴムを収集し、ケイブンシャの「全怪獣怪人大百科」を愛読。
好きな怪獣は恐竜戦車。好きな快獣はブースカとチャメゴンとカモスケ。
好きなウルトラマンはウルトラマンキッズの「ルーキー」。

前の記事へ

【大人になった子供たちへ】廃校でドロケー? 教室でお酒? ニッポン初の学校遊びイベント9/10〜11「廃校キャンプ」が気になる

【大人になった子供たちへ】廃校でドロケー? 教室でお酒? ニッポン初の学校遊びイベント9/10〜11「廃校キャンプ」が気になる

次の記事へ

【3分でわかるニッポンの伝統工芸】秋田:大館曲げわっぱ

【3分でわかるニッポンの伝統工芸】秋田:大館曲げわっぱ

関連記事RELATED ARTICLE

日本一の水深に広がる流星カラーの世界! 岩手県の幻想的な鍾乳洞「龍泉洞」をご覧あれ!

海外にもニッポンの魅力を! 空海ゆかりの地・高野山初のゲストハウス「Kokuu」が注目される理由は?

もう一度行きたくなる贅沢なお店 「銀座 東海林(しょうじ)」の格別な和食とは?

京都よりも生産量が多い日本一の伝統本玉露とは? 江戸時代から続く矢部屋許斐本家「焙炉式八女茶」

希少米がワインボトルに!? ギフトにもぴったりな幻の高級米「コタキホワイト」

日本茶の新しい楽しみ方! 欧米では定番のワインのようなクラフトティー「酵母茶」に注目

皇室献上米にも選ばれた岐阜飛騨のブランド米 「銀の朏(ぎんのみかづき)」

「シン・ゴジラ」の特殊造型プロデューサーが直伝! 特殊メイクワークショップが2日間開催

【2000年の岡山城】後楽園が築庭300周年を迎える 「岡山城」50年の歴史を振り返る・その35

キーワードKEY WORD